香りとほろ苦さが春を呼ぶ、健康山菜(フキのとう)
とれたてキッチン
2008年3月:ふきみそ
フキのとう | 6〜7個(約100g) |
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サラダ油 | 大さじ1 |
A | |
みそ | 50g |
砂糖 | 大さじ2 |
みりん・酒 | 各大さじ1 |
全量で約233kcal |
作り方 (調理時間20分)
フキのとうは2〜3分ゆで、水にさらす。水気を絞ってから細かくきざみ、再度絞る。Aは混ぜておく。
鍋に油を温め、フキのとうをさっといためる。Aを加え、弱火でさらに3〜4分、汁気がなくなる程度までいためる。
食の話 神山真理(食のエッセイスト)
フキのとう 香りとほろ苦さが春を呼ぶ、健康山菜
小さいころ「どこかで春が生まれてる、どこかで芽の出る音がする」という童謡を聞いて、春になると新芽が「ポン、ポン」と音を立てながら出てくるのかと思っていました。 まさにこの歌のように雪を破って芽を出すフキのとう。その花軸が伸びたものがフキですが、栄養は新芽のフキのとうの方にたっぷりと詰まっています。
まず注目すべきは、カリウム。フキのとうには、フキの約2倍のカリウムが含まれています。カリウムは血液中の不要なナトリウムを排出させ、血圧を下げてくれるので、高血圧が気になる中高年には大切な栄養素です。そのカリウムとクロロゲン酸による独特の香りとほろ苦さは、食欲を増進させ、胃を丈夫に保つ効果があるといわれます。
もう一つは、β─カロテンです。このβ─カロテンも、フキと比べると豊富に含まれています。また、粘膜を強くする作用があり、風邪の予防に役立つといわれ、がんの抑制にも深くかかわっています。 そしてフキのとうは、みずみずしい美肌づくりに効果があるビタミンCも含んでいます。
このように栄養価の高いフキのとうは、昔から春の山菜として親しまれ、みそ汁の実としてもよく登場しました。 ところで、フキのとうの花軸のことを「薹(とう)」といい、「薹が立つ」とは硬くなり、若さが失われてしまうことを指します。体に必要な栄養素をフキのとうから取り入れて、いつまでも若々しくありたいものです。
参考文献
『クスリの食べ物』(西東社)
『野菜&果物図鑑』(新星出版社)
『新食品分析表』(一橋出版)
栄養の比較(可食部100g当たり)
カリウム(mg) | β-カロテン(μg) | ビタミンC(mg) | |
フキ 葉柄・生 | 330 | 49 | 2 |
葉柄・ゆで | 230 | 60 | 0 |
フキのとう 花序・生 | 740 | 390 | 14 |
花序・ゆで | 440 | 260 | 3 |
出典:『五訂増補食品成分表2007』女子栄養大学出版部
※文中冒頭に登場する曲『どこかで春が』(作詞:百田宗治、作曲:草川信)の歌詞は、正しくは「どこかで春が生まれてる どこかで水がながれ出す どこかでひばりがないている どこかで芽の出る音がする」(出典:『精選日本の歌120選』ドレミ楽譜出版社)となります。